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やっぱり、紀ちゃんなしの生活はもう考えられないから。 「何、難しい顔してんだよ」 眉間に人差し指を突き刺され、私は慌てて顔を上げた。 「ご、ごめん」 「腹減った。晩飯まで時間あるし何か食べよう」 にっこり紀之が笑う。 旅館で頬に触れたときは遠慮がちだった紀之の手のひらが、戸惑うことなく私の頭をなでる。 小さな期待が膨らむ。 まるで私たち、恋人同士みたいだ。
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