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朝、と言ってももう11時を過ぎていて、公園デビューのちびっ子達がきゃっきゃっと笑っている声が聞こえた。
和やかな空気に包まれて、なんだか満ち足りた気分になる。
「そういえば、里奈仕事見つかった?」
紀ちゃんによって現実に引き戻されたけれど。
「家賃はいらないけど、光熱費はしっかり折半ですからね」
「わかってるよぉ」
少しいじけた声で答えた後、ふと何度も疑問に思って聞けなかったことを思い出した。
紀ちゃんの仕事。
たぶん、いや、絶対夜のお仕事。
夕方になると、いつも綺麗な格好をしているのに、さらに着飾って出かけていく。
衣装部屋と、シャネル。
水商売ってやつは稼ぎが良いらしい。
何時に帰ってきているのかはわからなかったけれど、夜中に玄関をあける音を聞いた。
紀ちゃんくらい美人なら、きっと売れっ子なんだろう。
なんかちょっと複雑だけど。
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