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今日こそ仕事探しをしなければと、私は立ち上がった。
「帰りはジョギングしていきましょう」
いきいきとした紀ちゃんの言葉に、再び座り込みそうになるのを必死で抑えながら、私は紀ちゃんの後に続いた。
帰宅して、シャワーを浴びた私は、おそるおそる、紀ちゃんのシャネルの化粧水を手にとった。
これくらい気合いを入れないと、面接の電話をかける勇気がわきそうになくて。
ふるえる私の手を見て、隣で歯磨きしていた紀ちゃんは腹を抱えて笑っていた。
「どんだけー?」
歯磨きを終えた紀ちゃんの第一声に
「それ、すごくオカマくさいよ」
かるく言葉のジャブを入れて、私はシャネルを肌に叩き込んだ。
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