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「里奈」 紀ちゃんに呼ばれて、顔を上げると、まじめな顔した紀ちゃんが目の前に立っていた。 隣に腰を下ろすと、少し躊躇いがちに瞳を伏せた。 本当にうっとりするくらい綺麗で、自分が男だったら、間違いなくキスしている場面だろうと思ってしまった。 「もし里奈さえよければの話なんだけどね…」 紀ちゃんがゆっくり私の手を取る。 言いにくい話をするときの紀之の癖。 何を言われるのかと、少しだけどきどきした。 「もし、里奈さえよければ、うちの店で働かない?」 紀ちゃんの手に、少しだけ力がこもった。
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