9818人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
朝起きて鏡を見たら、むくみきった瞼が、まるで不機嫌にふくれているかのようで、思わず笑ってしまった。
笑えたことに少しだけほっとする。
しかし、昨日見たアルバイトに面接の電話をかけたら
もう締め切ったと言われてしまい、私は再び純ちゃんに泣きついた。
「お昼、一緒に食べよう」
純ちゃんは優しく言ってくれた。
純ちゃんとは高校からの親友。
友人とよべる人は決して少なくなかったけれど、純ちゃんにかなう人はなかなかいない。
電話をきった後、何気なく広げた雑誌のお洒落な家具が目に入った。
なんとなくだけど、胸の奥がちくりと痛んだ。
夢も恋愛も、中途半端。
結婚まで考えていた割に、アメリカについて行くと言う情熱は私にはなかった。
気がつけば20代も折り返し。
心機一転、引っ越しでもしたいところだけれど、フリーターの私に残された貯金なんて微々たるもので、最近気になってきた肌やら毛穴対策の高級クリームを買えばあっと言う間に吹っ飛んでしまうくらいのもの。
何にもない私の人生。
最初のコメントを投稿しよう!