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ひっそりとした店内にはまだ誰もいなくて、照明を灯すと落ち着いた広い店内が見渡せた。 「すごい…お店だ…」 間抜けな言葉しか出てこなかった私の頭を優しくなでて、紀ちゃんは誇らしげに言った。 「そう、アタシのお城。BBARchocolate、改めて宜しくね」 カウンターの中から案内された更衣室で、渡された制服に着替えると、簡単な説明を受けた。 「里奈カフェでバイトしてたわよね?要領は一緒で、まぁ今日は掃除とお運びに徹してもらうわ。もう一人ホールのカズ君って子がいるから、エスコートとか詳しいことはその子が教えるわね、まぁうちはただの居酒屋の延長線だから気楽に」 開店の準備を始めた紀ちゃんに言われたとおり店内を掃除していると、カランカランと扉があく音がして、背の高い細身の男の子が入ってきた。 「…おはようございます」 多分、少し驚いたような間の後、ぶっきらぼうにそう言った彼につられて、私も思わず頭を下げた。 「おはようございますっ…あっ今日からお世話になります!」
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