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平日だと言うのに、客の入りが良く、与えられた仕事は山ほどあって、客のほとんどが常連らしいことにも驚いた。
「里奈、これ3番テーブルに。その後篠山さん…じゃなくて5番にフードね」
カズ君は開店と同時に無口になって、ドリンクからフード、エスコートまでほとんど一人でやってのけた。
テーブルやオーダーがわからなくておどおどしていた私のフォローもぬかりなく、できる男っているんだなぁ、なんて思ったりもした。
1時を過ぎると少し落ち着いて、私は更衣室兼事務所にある小さなソファーに腰を下ろすと大きく深呼吸をした。
「里奈、これママから」
カズ君の声がして振り向くと、プレートに乗ったオムライスを持ったカズ君が立っていた。
「もちろん、作ったのは俺だけど。旗はママ作」
オムライスの頂上に刺さった爪楊枝とメモ用紙で作られた旗を指さして、ソファーの前にあるテーブルにオムライスを置くと、ごゆっくりとだけ言ってカズ君は出て行った。
旗には、紀ちゃんの字でお疲れ様!と書いてある。
思わず顔がほころんだ。
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