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1週間、仕事を覚えるために死にものぐるいで働いた。
紀ちゃんと約束していた日曜日は私が疲れ切っていたため、2人で家でゆっくりする事になってしまったけれど、とても充実した毎日だった。
オカマバーで働く女が珍しく、常連さんは面白がってよく話しかけてくれ、みんな良い人たちばかりだった。
お酒も、仕事後にカウンターで紀ちゃんと飲むことが増えて少しだけど覚えてきた。
スコッチはスコットランドで作られたウイスキーの事であってたし。
ウイスキーも原産国によっていろいろあって、さらに熟成期間だのラベル価値だの、覚えるのに一苦労だ。
常連さんも30人もいないのに、未だに名前と顔を覚えられずにいる私に、紀ちゃんは何も言わなかった。
何にもなかった私の毎日が少しずつ形になってなじんでいく。
朝のウォーキング
お酒の名前
紀ちゃんとの生活
当たり前になっていくその日まで。
留守電の返事はまだしていない。
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