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どうしたらいいのかも、どうしたいのかも、わからないまま、ただ毎日忙しさに追われているのが楽で、再び鳴ることがない携帯電話をみて見ぬ振りをした。
しつこく連絡が来ないことを良いことに、向こうも本当は戻せたらいいななんて言う程度で、本気じゃないんだろうなんて、自分勝手な解釈をしていた。
彼はいつだってスマートで、優しかったから。
その優しさに甘えて、結局好きなのかどうかもわからないまま交際を続けた結果、私は逃げた。
彼と生きていく覚悟はなく、今もこうして逃げたまま。
そしたら偶然再会してしまった。
紀ちゃんの城。
私の要塞。
バーチョコレートで。
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