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「そういえば、あんた紀之とまだ連絡とってなかった?」
ランチを食べ終え、デザートのフルーツタルトをつつきながら、純ちゃんが、思い出したかのようにその名前を出した。
「とってるって言うか…ここ数年年賀状のやりとりだけだよ、後はたまーにメールが来るくらい」
「メール?」
「ラグのオススメがないかーとか、新作家具の話とか…」
純ちゃんが呆れたようにため息をついた。
「何それ、わざと?」
私は慌てて首を振る。
「いや、紀之は私が会社辞めた事知らないんだ」
「会ってないの?やめてから一度も?」
純ちゃんの問いに、今度は頷いた。
篠田紀之。
7年前、たった半年だけだったけど、私がはじめて付き合った人だった。
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