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「3年だ。一緒に行こうだなんて言わない。でも待っててほしい。里奈が好きなんだ」
こんなに真っ直ぐ気持ちをぶつけられたのは初めてで、目の前がぐらぐらした。
揺らいだ先にあるのは、恋愛感情なんかじゃないはずなのに、人はどうして言葉に揺らいでしまうんだろう。
弱くてちっぽけな私を思い知って嫌気がさす。
無言のまま、ゆっくりと首を振る。
「遠距離は確かに大変だけど、里奈が会いたいって言ったら俺飛んでくるから。連絡だって毎日する。離れるから別れるだなんてよく考えたら納得いかない」
トシが、私の手を握ろうとしたので、私は慌てて自分の前にあったウーロン茶を手にとって逃れた。
「違うの」
ウーロン茶を一口飲んでから、私はトシを真っ直ぐ見た。
「遠距離とか、そういう話じゃないの」
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