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紀ちゃんのグラスと私のグラスがぶつかって、透き通った音がする。
素敵な音だと思う。
トシがそうしたように、私は一気に流し込んだ。
いつもと味が違う。
何だかとてもスパイシーで、ひどく重い。
焼けるように熱くて、一気に酔いが回っていく。
涙のせいかもしれないと思ったけれど、カズ君が小さくヤバいと呟いた。
「カズ君、里奈のマッカランじゃないわよね?何出したの?しかもストレートなんて」
遠のいてく意識の中で、紀ちゃんの声が聞こえた。
「ポートエレンです」
ガタンッと、紀ちゃんが立ち上がった瞬間、私の意識は途切れた。
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