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紀ちゃんの腕はあのころのままで、男にしてはひょろりと細く、女にしては筋肉質でたくましい。
目を覚ます気配はなく、私はそっとお腹にある腕を下ろして、キッチンへ向かった。
アルコールのせいで喉がからからだった。
蛇口から勢いよく出る水をしばらく眺めて、コップに注ぐ。
コップに注いだ水道水を眺めると、ウイスキーのアルコール独特の揺らめきと違って、その波はひどく淡泊に見えた。
コップに注いだ水を2杯飲んだとき、ソファーの上にいる黒い物体が動いたのに驚いた。
人が、居る。
キッチンから顔を出して、再び驚いた。
カズ君だった。
ソファーの上で猫のように丸くなって、寝息をたてることなく、ボーイの制服姿のまま寝ていた。
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