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紀之との別れは、とても自然だった。
大好きで、楽しくて、愛しいとさえ思ったけれど、ある日それは恋愛感情なんかじゃ無いって事に気がついた。
紀之も、同じだった。
友達に戻ろうと、笑って言ってくれた。
専門学校卒業後は、連絡はとっていても、会うことはほとんどなかった。
気まずいとか、そんなわだかまりは一切なくて、お互い忙しくて、充実していた結果だった。
それでも切れない距離感が心地よかった。
多分、紀之も同じ。
恋愛感情ではなく、友情よりもっと親密で、恋人より遠い、家族に近いようなそんな感じで。
「紀之に会いたいな」
思わず、口に出た言葉に、純ちゃんが身を乗り出した。
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