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優しくて、甘い声。 恋人同士だったときに聞いたことがあるその響き。 涙が出そうになる。 世界一幸せだった頃。 こうして、2人でベッドの上でいつまでもくっついていた。 少しだけ。 少しだけ、甘えさせて。 私は紀ちゃんの胸に顔を埋めて、声を漏らさないように小さく泣いた。 そのうち泣き疲れて、再び寝てしまうまで。 紀ちゃんの腕の中は暖かくて、練り香水の香りに包まれいた。
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