5

6/19
前へ
/317ページ
次へ
次に目を覚ましたのは携帯電話の着信音だった。 「もしもし」 相手を確かめもせず電話に出ると、純ちゃんの声が聞こえた。 「あ、生きてた!元気?あれからどうよ?紀之と会えた?て言うか、連絡無いから死んだかと思ったよ、今何してんの?」 マシンガンのごとく、質問の嵐に、私は小さくつぶやいた。 「今…二日酔い」 「はぁ?いまだにやけ酒なんかしてるの?まぁいいや明日暇?」 「夕方までなら…」 ガンガン響く声に、私は小さく答えた。 「じゃあ明日、いつもんとこでお昼食べよう。11時にね」 それだけ言って、純ちゃんは電話を切ってしまった。 一方的だけど悪気はないのがわかっているから、私は静かに携帯電話を閉じた。 同時にノックの音で振り返ると、すっかり着替えて髪の毛を束ねた紀ちゃんが、水と胃薬を持って入ってきた。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9818人が本棚に入れています
本棚に追加