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次に目を覚ましたのは携帯電話の着信音だった。
「もしもし」
相手を確かめもせず電話に出ると、純ちゃんの声が聞こえた。
「あ、生きてた!元気?あれからどうよ?紀之と会えた?て言うか、連絡無いから死んだかと思ったよ、今何してんの?」
マシンガンのごとく、質問の嵐に、私は小さくつぶやいた。
「今…二日酔い」
「はぁ?いまだにやけ酒なんかしてるの?まぁいいや明日暇?」
「夕方までなら…」
ガンガン響く声に、私は小さく答えた。
「じゃあ明日、いつもんとこでお昼食べよう。11時にね」
それだけ言って、純ちゃんは電話を切ってしまった。
一方的だけど悪気はないのがわかっているから、私は静かに携帯電話を閉じた。
同時にノックの音で振り返ると、すっかり着替えて髪の毛を束ねた紀ちゃんが、水と胃薬を持って入ってきた。
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