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頷いた私に紀ちゃんは再びにんまりと笑った。
「あんた気をつけな、酒乱の気があるわよ」
頭から血の気が引いていく。
記憶がないイコール、私は寝てしまって2人に運ばれたもんだとばかり思っていた。
「なーんてうそうそ、可愛いもんよ!むしろ60度もある酒飲ませたカズ君には良い薬になったでしょ。でもあれ、かなり良いお酒なのよ」
良い薬になるような酷いことを、私してしまったんだろうかと、紀ちゃんの声はそれ以上耳に入ってこなかった。
紀ちゃんになだめられ、リビングへ向かうと、カズ君がソファーに座った状態で丸まっていた。
「おはようございます里奈さん…」
普段呼び捨てのカズ君が敬語まで使って私を見上げた。
「ごめんね、カズ君…私覚えてなくて…」
カズ君はちょっとほっとしたように笑った。
「いや、こっちこそごめん…まさか一気するとは思わなくてさ…飯、食べよ」
紀ちゃんが湯気の上がるお粥を2つテーブルに置いてくれた。
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