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シャワーを浴びて出てきたカズ君はズボンだけで上半身は裸のままだった。 細いだけかと思っていたら、意外にも筋肉質で、見とれるほどきれいだった。 ソファーに投げっぱなしのシャツを着ると、肩に掛けたタオルでわしわし頭をふいた。 仕事中もだけど、本当に動作の一つ一つが絵になる子だと思う。 「ママ、タバコすっていい?」 カズ君はカバンからタバコを取り出しながら言った。 「ベランダでね、灰皿は出てるから」 紀ちゃんは新聞を広げながら答えた。 はい、と答えてカズ君はベランダへ出て行った。 「そういえば、紀ちゃんタバコやめたの?」 私はふと、カーテン越しにカズ君の吐き出す煙を見ながら思い出した。 紀之は1日1箱は吸うヘビースモーカーだった。
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