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そのまま、動けずにいると、紀ちゃんが冷やかしたように言った。 「宮原さんに見とれちゃった?」 「本当に?嬉しいなぁ」 やんわりと、紀ちゃんの言葉を受け流して、宮原さんは右手を差し出した。 「宮原です。よろしくね」 私は黙ったまま吸い寄せられるようにその手を取った。 無言の私に、カズ君が挨拶を促してくれ、私はやっと声を出すことができた。 「…里奈です。ボーイです…」 何となく側にいる心地が良い人としか恋愛をしたことがなかった。 だから、まだ自分の気持ちに気がついていないだけで、この瞬間、私は彼に恋をしていた。 生まれてはじめての一目惚れだった。
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