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聞き覚えのある声に、割れたカップよりも先に声の主を見上げた。
また心臓が鳴った。
宮原さんだ。
「あれ…里奈ちゃん?」
驚いた顔をしつつ、宮原さんはしゃがみ込むと割れたカップの破片を拾い始めた。
慌てて箒を持ったカフェスタッフが駆けつけたけど、宮原さんは申し訳なさそうにカップの破片を拾い続けた。
もっと、近寄りがたい人だと思っていたから、スタッフへの対応が意外だった。
「ごめんねー、大丈夫?珈琲かかってない?」
片付けを終えた宮原さんが立ち上がった。
「あ…はい」
「良かった、じゃあまたお店でね」
にっこり笑った宮原さんに見とれているうちに、宮原さんは颯爽と店を出て行ってしまった。
純ちゃんがニヤリと笑った。
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