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「困ったな、口説いてるつもりはなかったんだけど…ママは誰に妬いてるのかな?」
宮原さんは、変わらない笑顔でグラスを口に運んだ。
紀ちゃんは、一瞬驚いた顔をして笑った。
「他人に興味ない振りして、よく見てるのね、宮原さんて」
「ほめ言葉だと思っておきましょう」
二人にしかわからない会話についていけず、私はそっとカウンターを離れた。
並んでいる2人は美男美女で、とてもお似合いだった。
同じ空気をまとって、他人が知らない何かを共有しているような。
とても独特で、たまらなく魅力的。
優しい笑顔のしたで、2人は何を隠しているんだろう。
ぼんやりと、グラスをふきながらそんな2人を眺めていると、カランと入り口があく音がした。
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