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「里奈!大丈夫?」
カウンター越しのカズ君やユウキ君より早く、宮原さんと話していたはずの紀ちゃんが駆け寄ってきてくれた。
「大丈夫…ご、ごめんなさい」
「大丈夫ならよかった、今箒持ってくるから触らないでね」
紀ちゃんはそう言って、バックルームへ行ってしまった。
紀ちゃんが戻ってくるまで、せめて大きな破片だけでも拾おうとかがみ込んだ瞬間、割れた破片で右手の指を切ってしまった。
「痛ッ」
「ベタだなぁ…どれ」
いつの間にかカウンター内に入ってきたカズ君が私の切れた方の手を取った。
「たいしたことないし、舐めときゃ治るよ」
そのまま、カズ君の唇が切れた指に当たりそうになった瞬間、紀ちゃんが箒の柄でカズ君の額を押しのけて、私の指をのぞき込んだ。
「ばかねーあんたは絶対切ると思ったから触るなって言ったのに」
「ごめん…」
「更衣室に救急箱あるから、おいで。カズ君ちょっとホールお願い」
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