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「ご試食、いかがですかぁ?」
かけられた声にはっとするように顔を上げた。
20歳位の小柄な女の子が、笑顔でチョコレートを差し出してくれていた。
私が断ろうかと躊躇したとき、後ろから声がした。
「いただいても良いかしら」
ハスキーな、でもどこか懐かしいような、不思議な声。
ちらりと後ろを盗み見る。
背の高いとびきり美人が立っていた。
キラキラとちりばめられたラメのアイメイクのせいだけじゃなく、彼女自身が光り輝いているような。
芸能人なんじゃないかと、私は店員の女の子の様子を伺ったけれど、ニコニコとチョコレートを渡した彼女の反応は至って普通だった。
こんなに光り輝いているのに。
どうやらチョコレートを購入するらしい彼女が隣に並んだ。
心臓が、ドキドキした。
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