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「そんな、いいよ紀ちゃんたいしたことないし」
「何言ってんの傷は浅いけど、料理もするのにそのままじゃだめよ」
紀ちゃんは、そのまま更衣室へ向かおうとした。
「って、ママ俺休み…」
口を尖らせ言いかけたカズ君に紀ちゃんは珍しく低い声で答えた。
「いいから10分そこにいな」
カズ君は尖らせた口を慌てて引っ込め神妙な顔で頷いて、ユウキ君だけが、にこにこしたままつぶやいた。
「いいもの見たなぁ」
私は申し訳ないまま、黙って紀ちゃんの後に続いた。
今更、傷口がジンジンしてきた。
紀ちゃんが怒ってるのが伝わってきて涙がでそうだ。
紀ちゃんの大切なお店のグラスを割ってしまった。
紀ちゃんは何も言わないけれど、きっと私に呆れてる。
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