9818人が本棚に入れています
本棚に追加
カレンダーに目をやると、今日は3月14日。
ホワイトデーと小さく印刷されたその下に、紀ちゃんの字で
happy birthday
と書かれていた。
私の、26歳の、誕生日。
いつの間に書いたんだろう。
自分でもすっかり忘れていたのに、覚えててくれたことに、胸が熱くなった。
包みを開けると、中から出てきたのは車の鍵とバースデーカード。
書かれているのは車のナンバー。
私は立ち上がると真っ直ぐにマンションの駐車場に向かった。
心臓がドキドキする。
紀ちゃんの高級愛車はマニュアル車で
オートマ限定の免許しか持っていない私は運転できない。
駐車場には、紀ちゃんの車の隣に、パールピンクのコンパクトカー
が停まっていた。
ナンバーを確かめると、バースデーカードに書かれていたものと同じ。
胸がいっぱいで、どうしたらいいのかわからなかった。
ただ、紀ちゃんに会いたいと思った。
出勤時間まではまだ時間があったけれど、私はすぐに準備をして家を出る。
たった今わかれたばかりの紀ちゃんに無性に会いたかった。
最初のコメントを投稿しよう!