不安な気持ち

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それからというものの、その夢はなんと毎日続いた。 "例のあいつ"も、毎日出続けている。 そして、その期間の俺は、何だか違っていた。 いつもならニカニカ笑ってんのに、それがなく真顔だったらしいから。 「……」 「翔君、今日元気ないんじゃない?」 「え?」 「いやー、何か僕から見るとさ。テンションが低いというか」 チームメイトに、ジョギング中に言われたり。 俺、確かに毎日全力疾走な気分で走ってんもんな……。 それとか、こんな。 「海原、危ない!」 「!」 ビュン! かろうじて、飛んで来たボールを避けた。 当たっていたら、凄く痛かったろうものを。 そう、俺は目の前から蹴ってきたボールに全く気が付いていなかったんだ。 「あれ?おっかしーな。調子わりぃ……」 「どうした、最近ぽーってなってるぞ?」 「すいません先生、大丈夫なんで」 「運動だけじゃなくて、勉強しないと頭スカスカになっぞ!」 「はい」 先生からからかわられながら、頭を軽くポンポン、と叩き目を覚まそうとする。 どうしたんだろ、俺? だって、一番好きなサッカーしてるはずなのに……。楽しんで、はしゃいでるはずなのに。 その原因の1つ。 1つ分かっているのは。 ……何故だろう。 俊にあの事を話したくて仕方がない事。 ……あいつを、俺は求めてんのか? だから、夢に毎日出続けてんのかよ? 自分に、そう問いかける。 .
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