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昼休み後。
トラックを5周、シュートの練習、先輩チームとの練習試合と……。
……。
………。
…………。
「──よし、今日はここまで!また来週な」
部活……、終わっちまった。
早く行かなきゃだな。
俊が、きっと早く校門に来て待ってる。
俺は、急いで学生服に着替えて走った。
グラウンドから走れば、すぐに着く校門。
そこの道を走って行くと、案の定俊が立っていた。
「しゅーん!」
俺は、何とかいつもの自分を見せようと声を張り上げ、手をブンブン振りながら俊を呼んだ。
俊はすぐに気付き、チラリと横顔のままこっちを見る。
「……お疲れ」
俺は、軽く息を荒らしながら校門に着く。
「お疲れ。……んじゃ、行くか!ついてきなっ」
「ああ」
校門から出て、左に曲がり交通の少ない道路へと出る。
そこからずっと真っ直ぐ行って、最初の信号のある所を左に行くとその、小さな商店街がある。
その道筋を、俊に話しながら歩く。
その時から、ちょっと心の中がもどかしかった。
「……なぁ翔」
「ん?」
と、俊が道を歩きながら話し掛けてきた。
俺は、目だけを俊に向ける。
「……こういう時にしか言えないけど、ここの所翔元気なさそうだな……と思っていたんだが」
……か、勘づかれてる。
やっぱ、俺いつも毎日テンションが高いからすぐに分かっちゃうのかなー。
「……っえー、そうか?」
「……」
俊は、無言のまま頷く。
俺は、そんな中作り笑いをしていた。
……作り笑い?
「とりあえず、さっさと行こうぜ!夜になっちまうぞー!」
俺は、無意識のうちに走っていた。
「……っあ、ちょっと」
俊は、そんな俺の行動を冷静に受け止め、同じように走り後を付いていく。
俺の、無意識に足が動いた理由は目の前にあった。
プレゼントを決めて、俊を見送った後早く帰ろうと思ったから。
そして、今度からはまた別の近道を探してそこを使おうという、ちょっとした現実逃避みたいなもの。
でも……。
俺、こんなんでいいのかな?
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