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そう考えた後は何も悩まず、あっという間に商店街の入り口に着いた。
ここは穏やかな雰囲気を持っていながら、お客さんもそんなに多くはない。
ただ、常連客だけはいつも来ていてそれなりに賑やかな場所。
「着いたぞー」
足の速さが取り柄な俺は、その時俊から500mの差をつけて着いていた。
……あ、そんなに差はないか。
後から、俊が息を切らさずに俺に追い付いた。
「お前、息切らさねぇの?」
「……あんまり」
「……すげーな」
俺は、また軽く息を切らしてるのに。
それだけ、運動する時の呼吸の仕方が上手い……って事か?
もしそうなら、今度教えてもらおっかな……。
「んじゃあ、こっから真っ直ぐな!でっかいピンク色の看板があるのがそれ」
歩きながら指を指したその先。
例のおもちゃ屋さんがある。
小柄なお店で、とても可愛い所なんだけれど……。
一歩、二歩と進んでいって……。
そして、着いてしまった。
「……ここか」
可愛いものが珍しいのか、俊はきょとんとした表情を見せ、お店を眺めていた。
……俊って、そんな顔もするのか。
初めて見た。
いつも、無表情な顔しか見たことがなかったから、何だか新鮮だった。
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