34人が本棚に入れています
本棚に追加
?
俺、確か俊を待ってるはずなのに目の前が真っ暗じゃねぇか……。
「……あれ?」
目を覚ますと、俺はベッドの中にいた。
ふかふかの、青色の毛布に白い枕。
何でだ……?
むくり、と起き上がり辺りを見渡す。
誰かの部屋……?
「!?」
でも。
その前に、俺は自分自身に驚く事になる。
キョロキョロと見渡した時に、ゆらゆらと灰色の長い髪の毛が大きく動いた。
それは、俺の所から、確実に。
……覚醒(ルース)してる!?
ガチャッ。
「……あ、気付いたか?」
「……俊!」
ドアが開くと、俊が中に入って来た。
……ひょっとして、ここって……。
「ここ……、お前ん家?」
「そう」
俊は、中に入り俺の所に来ながらそう言った。
そして、ミルクを差し出してくれる。
「とりあえず、落ち着こう」
「……さんきゅ。今、戻るな」
目を閉じて解除(リセット)の暗示をかけ、元の青い髪の毛に戻る。
気分が、すうっとしてやわらいだ。
……ここ、俊の部屋だったのか。
でも、なんで……?
確か、俺はあのぬいぐるみに見られている辺りしか覚えてない……。
とりあえず貰ったミルクを全部飲み、喉を潤して俊に渡した。
「……翔、さっきあそこにいた時、苦しそうにしながら覚醒(ルース)してたぞ」
「な!?」
カップを、机に置きながらそう言った。
そして、また元の場所に戻り座る。
「……その光景、他の人に見られると不思議に思われるだろうと思って、クラウド君にお願いして瞬間移動させてもらったよ」
「……」
話によれば、俊がちょうど買い物がすんだ後に起こった出来事らしい。
俺の元に駆け寄った時には、もう覚醒(ルース)しかけていた状態で誰もいない道に回避して、クラウドに頼んで瞬間移動させてもらったらしい。
その時、また左頬を押さえながら……。
おかしい。
覚醒者が、覚醒(ルース)と言わない限りその魔法は発動し、体に入ってこない。
「なんで、俺は……」
俺の心の中は、疑問と不安に満ちていた。
……まさか、俺の強い気持ちが表に出て、反応したってのか?
「と、とりあえずごめんな、迷惑かけちまったみたいで……」
「いや……、別に大丈夫だから」
後で、クラウドにも謝っとかなきゃな……。
.
最初のコメントを投稿しよう!