打ち明け

4/5
前へ
/30ページ
次へ
ドクン、ドクンと血が溢れ出ているのがすぐに分かって……。 すっげぇあつくって。 酷い痛みに、そのまま俺は健太をかばったままぐったりとなってしまった……。 ガサ、ガサ……。 あ、俺。 このまま……、しんじゃうのかな? 熊なんだし……、このまままた襲われちゃうだろうし……。 健太が、助かってりゃーいーや……。 もうヤバイな、右目まで見えなくなってきやがった……。 ザーザー……。 雨まで降ってきたな……。 気持ちいいや……。 おやすみ……な……さい……。 「……ん……?」 あれ……、ここは。 「あんた!か、翔が……、目を覚ましたわよ!」 「お、おぉ!良かった……、良かった……!!」 母ちゃん、父ちゃん……?それに、健太も……。 「翔くん!助かって本当に良かったよぉ……!」 「健太……。ここは?」 「病院だよ!僕達、助かったんだ……!!」 白いベッドに枕、……あと左頬を触ってみれば包帯が巻かれている感触。 全体的に触ってみれば、何重にも……。 良かった……、俺生きてたんだ。 怪我しちまったけど……、生きてるってだけで安心した。 「翔!見えるかい?母ちゃんだよ……!」 話によれば、俺は健太を下敷きにしたまま倒れた後、何と熊はまた草むらに戻ったらしい。 そして、健太は俺を背負いながら助けを求め、救急車を呼んだと……。 俺の右手を手にとり、母ちゃんは涙を流しながら俺が生きてる事を凄く嬉しくしていた。 父ちゃんは、涙をこらえながら笑顔を送ってくれている。 「頑張ったな、翔」 「……」 父ちゃんも母ちゃんも……。 誰も叱ってこない。 「怒ん……ねぇの?」 ムクリ、と起き上がり母ちゃんに問いかける。 そんな俺の質問に、母ちゃんはただ涙を浮かべながら微笑みかけていた。 .
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加