誘い

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「……えー、ここの現在完了形は……」 うー、そういや金曜日の一限目は英語だったな。 ……一番眠たくなる授業。あの男の先生の発音は凄く滑らかだから、何故か眠くなってしまう。 と言っても、俺の脳は体育と部活、遊びの時間以外は活動していない。 昔からそうだ。 勉強が嫌い……じゃないけど、苦手だ。 だから、いつもバレない様にして寝ていたり。 いざという時には眠気眼で、頑張って答えてる。 たまに怒られるけどな。 ……笑われながら。 「(ふわあ~ぁ……)」 手で口を押さえ、あくびをする。 そして、目に涙を浮かばせながら顎を右の平手の上に乗せ軽く左を向く。 「(……俊は得意だもんな~、昔アメリカに住んでたのもあったし)」 そんな俺に対し、俊は真剣に教科書を読み、メモをとっている。 ……これが、普通なんだけど。 「……えーと、ではP38の英文。ちょっと長いけど神士読んでくれないか?」 ……あ、俊当たった。 先生が、いつもの事だがニコニコしながら名前を呼ぶ。 「……はい」 俺も、P38を見てみた。 ……あ、ごめん、俺もう無理だわ。 こんなの読めねぇよ。 「……According to the passage,"I am "Weak drinker..."」 やっぱ俊も滑らかだな。 眠たくなっちまう……。 …………。 キーンコーンカーンコーン……。 「──はい、では明日はこの続きをやります。では!」 チャイムが鳴り、ちょっと焦りながら、みんなと一緒に席を立つ。 『ありがとうございました』 そして、先生が居なくなった後、そのまま眠たい顔のまま俊の元へと歩いた。 .
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