『公園』

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「湊でいいよ。見てた……と言うよりあっちのベンチで昼寝してたら楽しそうな笑い声が聞こえてきたから、つい目が奪われた」 そう言ってまた微笑む湊。 悪い人ではない……のかな? 私の短い人生経験が物を言うのは正直怖い要素もなきにしもあらずだが、私の職業は営業職。普通の工場で働いている同級生達に比べると、人を見る目は悪くはないだろう。 「私は奏、でこの子は椋鳥。一緒に遊んでくれたら私も助かる」 ある程度安心した私は自分の名を名乗り、警戒心を解いたことを相手に伝える。 営業も同じ。相手の心を読み取る為にはまずはこちらから先手を打つことが大切だ。 心を開かせればある程度は相手の考えや、意図がわかってくる。 職業病なのか、私は普段から営業の癖から抜け出せられずにいた。
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