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「そこで奏は何て言ったの?」
ガヤガヤとした煩いはずの店内がなぜか心地よい。
カウンター越しに世話しなく動き回る店員を横目に真面目に話す、湊の顔を改めてみると、やっぱり綺麗な顔だと実感してしまう。
「私の邪魔するんだったら別れて」
何度この言葉を繰り返せば彼の気は済むのかと、呆れながらも言う私。
湊はそんな私の言葉で顔を崩して笑う。
今日一日で何回彼のこの笑顔を見たことだろう。
それを見て、はにかむ私もそうとう気持ち悪いが今日は繰り返しの時間を過ごしている。
あの公園で湊に散々馬鹿にされた後、椋鳥と別れて家に帰ろうかとした時の事。
疑われてショックだと捨て犬見たいな表情で、湊はぬかしやがった。
散々笑ってそれはなんだい?
そう心の中で思いながらも、悪い気持ちもあった為、また今度、ご飯を奢るという一番王道パターンで終わらそうと再び家に帰ろうとした。
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