序章『平日の一時』

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「そんなに好条件の男を探しているんですか?」 菊川はまたこちらに体を乗り出してそう言ってきた。 だから狭いって……。 それにまだこの話を続けたいようだ。私的にはもう終わらしたいのだが。 「好条件と言うか私の価値観に合う人じゃなきゃ嫌なの」 私は話を終わらしたいが為にぶっきらぼうにそう答えた。 「どんな価値観?」 いきなり助手席で寝ていたと思っていた先輩が起き上がって話に食いついてきた。 「八木さん。いきなり話入ってこないで下さいよ」 先輩もとい八木は知ったこっちゃないと言いたげな顔つきで華麗にスルーして、私の返答を待っていた。
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