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「女っ気が欲しかな。」
決まってそこは俺のフォロー。
「何言ってんすか俺もヒィちゃんも女っすよ♪」
ヒィちゃんはバイトの同期で一つ年上。
性格はおおざっぱで、適当で失敗しかせんくて、女らしさのカケラもない。
顔はお世辞でも可愛いとは言えんかった。
もちろんマネージャーは俺を殴ってきた。
「お前等を女って言ったら、周りの女に失礼やろーが!!」
いつものショートコントみたいなもん。
周りを笑わかすのがマネージャーと俺の仕事みたいなものやからな。
いつもならそこで話題が変わる・・・
はずやった。
でも今日のマネージャーは違った。
「ヒィちゃん。女呼べ!」
ヒィちゃんは「はぁ?」と怒り気味。
内緒の話やけど、ヒィちゃんはマネージャーに片思い中やった。
引き下がらんマネージャーに嫌がるヒィちゃん。
そして便乗して「呼べ」と言う、同期のたっくん。
だんだんめんどくさくなったのか、ヒィちゃんは女を呼ぶはめになった。
「絶対電話出ないっすよぉ~?」
と言うヒィちゃんとは裏腹に、みんなは盛り上がってた。
ちなみに俺も。
女と飲むなんてかなり久々やった。
マネージャーと行ったスナック以来。
5コール目で、予想外に電話が繋がった。
ヒィちゃんはしぶしぶ
「今日暇?」
と嫌そうに聞く。
その直後、
「ちょー行きたい!!」
電話ごしで甲高い女の声が聞こえてきた。
どんだけ叫んどったんやろ。
うるさい居酒屋の中で聞こえたんやから。
マネージャー、たっくん、俺は一斉にガッツポーズをして、目を合わせた。
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