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『ユキ!!もう帰るん?ラーメンでも食ってかね?』
『ごめ~ん……今日はダメなんよ!!また今度誘ってよ!!』
俺は特に予定など無かったけどシンヤの誘いを断ったんだ。
『そっか。いいって事よ!!また明日な!!おつかれぇ!!』
シンヤが言い終わると俺は手を振ってから帰る事にしたんだ。
階段を降りて靴箱に行くと、2年の女の子が俺を待ち構えていた………。
『ゆ~き君!!帰ると?一緒に帰ろうよ!!』
『はい?今日は急いでるんですみません。ってか何で俺の名前ば知ってるんすか?』
俺は1番気になってた事を聞いてみた。
『2年も3年もユキ君の事、知ってるよ~!!有名人だもん!!』
どうやら何処かからか俺の情報が回っていたらしい………。
『そうなんすか?まぁいいですけど……じゃあ、俺急ぎますんで!!さようなら』
俺はそう言うと走って自転車置き場に向かったんだ。
しかし何で俺なんかに声を掛けてくるんだろうか………。
全く理解出来なかった。
『ユキく~ん!!久しぶり~!!』
俺が自転車に股がり帰ろうとした時、ミチコが声を掛けてきた。
『あっ!?久しぶりやん!!元気しとったん?』
ミチコとは高校受験の合格発表以来だった。
『うん!!元気元気だよ!!うちのクラス女クラやけんつまら~ん!!ってかユキ君、凄い人気だよね!!私のクラスでもユキ君の話題が出てるんだよ!!』
2、3年以外に1年までにも俺の噂が広まっているらしい………。
『何でなん?そのおかげで入学初日からケンカしたやん!!』
俺は相当迷惑そうに言っていたんだ。
『えっ!?ケンカしたの?あっ!!ほんとだ!!口切ってるじゃん!!大丈夫?』
ミチコは俺の怪我してる口を触ろうとしてきた。
『触るな!!………あっ……ごめん。俺、急ぐけん。また明日な!!』
俺はミチコに強く言ってしまった………。
アユミ以外に触られたくない。
アユミ以外を触りたくない。
俺はアユミに別れの手紙を貰った日以来、誰にも触れさせる事をしなかったんだ………。
アユミの事を忘れたくないから………。
アユミとまた付き合えるって信じてるからそれまで待ち続けるとあの日以来誓ったんだ。
だから俺に触れていいのはアユミだけだと俺は思っている。
俺は涙を流しながらその日は家に帰って行った………。
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