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「もう少し此方へおいでなさい。この子が貴方の許嫁の雛菊さんよ。」
お婆の家に行くと、母が唐突にそんなことを言った。
雛菊、と呼ばれた少女は先ほど外で見かけた少女であった。
「貴方のお父さんの旧友の娘さん…お婆の御孫さんよ。」
母はにこやかに話を続けた。
貴方達は会ったことは今日が初めてでしょうが、貴方達が生まれる前からお父さん達の間で決められていたのよ。とか。
貴方達の家は用意している最中なの。とか。
「…家ですか?」
首を傾げて尋ねると、母はええ、ええ。と首を縦に振った。
「雛菊さんと貴方の家よ。」
「お母さん、私はまだ子供のつもりですが。」
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