プロローグ

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 突然だが、質問しようか。   『この世界に、魔法はあるのか』  これに対しては「ない」と即答する人が多いだろう。だが、その根拠はどこにある?  非科学的だから、なんていうのは理由にならない。もしそうなら、それが存在しないということを証明しなければならないからだ。しかし、「そうかもしれないけれど、やっぱりないものはないのだ」と言い張りたい気持ちもわかる。人というのは、理解に苦しむものを認めようとしない生物だろうし、もし過去の俺に突然こんなことを尋ねたら即座に「そんなもんあるわけないだろ」と答えただろう。  だが、今の俺ならこの質問に対して「わからない」と答えるだろう。  『あいつ』に会った今の俺なら。  さて、この質問はただのたとえであって、『あいつ』が魔法使いだとか、そういうわけではない。  それじゃ、そろそろ本題に入ろうか。では、もう一つだけ質問だ。   『この世界に、ドラゴンは実在するのか』  ――ちなみに、俺はその答えを、知っている。
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