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周りを見てみると、クラス中から突き刺さるような視線が注がれる。
肩をぽん、と叩かれた。
「ふふ、祐介、短い友情だったな。これからお前は親友ではなく、好敵手だ」
そう言って、藤堂が笑っていない笑顔で見つめてきた。
ちら、と前を睨んでやると、ミルは満足そうな笑みを浮かべていた。
なんだその、『してやったり』的な表情は! ……ふん、もう昨日のことは忘れているみたいだな。今夜もまた思い出させてやるから覚悟しておけよ。
そしてお前たち、いい加減その殺意のこもった視線を向けるのをやめてくれ。俺はあいつのことなんかある意味全く眼中にねえんだよ。俺はあんな爬虫類を愛でる趣味は生憎持ちあわせてはいないんだからな。
緊迫した空気の中、追川が口を開いた。
「あー、お前ら、今日はテストがあるのを忘れていないか?」
その瞬間、クラス内の熱かった空気は氷河期を迎え、時が止まった。
ふう、とりあえず助かった。これでミルのことは一時的だとしても頭から離れ――
「え、今日はテストなんですか? 知らなかったです。あたし、全然勉強とかできなくて……。困りました。誰か勉強できる人に教えてもらいたいなー、なんて、冗談ですけどね」
お前は今日テストがあるのを知っていただろうが。
再び地響きのようなオーラが教室内を埋め尽くす。クラスにはさっきとは別の意味で熱くなっている。なんか皆呟いているな。
「ぜってぇいい点とってやろ」
「ふふふ、ここでいい点を取れば長月さんが僕に教えて、と……」
「ここでかっこいいところ見せれば長月ちゃんは俺のものに……」
下心見えすぎだな。っていうか、それ絶対本人に聞こえているぞ。
そんな変に緊迫した空気の中、テストが始まろうとしていた。
「じゃあ最初は国語から、チャイムが鳴ったらスタートだ。……お前らそろそろ時間だから筆記用具以外の物はしまえよー」
追川がそう言うのにも耳を傾けず、皆は目を血走らせていた。そして、チャイムが鳴った。
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