第二話 居候と侵食されていく日常

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     ◇  ……はあ、やっと終わった。長いようで短かったな。腕をぐいーっと伸ばしながら今日のテストを思い返そうとしたが、途中でやめた。あまり思い出したくないからだが、思い出したくないと願うほど、頭にその時の映像が浮かび上がってきた。      ◇  国語のテストの後の休み時間、予想通りと言えばよいのか、ミルの周りに人だかりができていた。  お前ら、少しはテストの心配するとかしたらどうなんだ? 「あ、長月ちゃん。僕は藤堂一っていうんだ。これからよろしくね」  想像通り、あの女たらしの馬鹿が最初に話しかけている。  あー、いつからお前は一人称が『僕』になったんだ? そして、その気味悪いほどの爽やかボイスはどこの口から出ている。 「えっと、オレは井上といいます。以後、お見知りおきを」  爽やかな笑顔を振りまきながら、俺の悪友その二である井上亮太がアタックしていった。  その他有象無象もミルに話しかけていたが、ミルはそれも上手く切り抜けていく。  遠巻きにその光景を見ていてふと思う。男なんて所詮、女に群がることしか能がない悲しい運命を背負っているんだな、と。  ……はあ、自分で言ってて虚しくなってきた……。
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