第三話 居候とお仲間さん

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 時間ギリギリだったため駆け足で教室内に入る。  それで、少し気になることがあったのだが。 「おはよ」 「おはよー……」  朝だからかもしれないが、いつも通り眠そうに返事する。 「おっはよー」 「おはよー長月ちゃあん!」  前者は俺、後者はミルに対するクラスメートたちの反応。返事の声の大きさとしては、囁きとマイク音声くらいの差があると思う。  まさか、まだ変な誤解をされてるんじゃ……。  俺はミルに小声で話しかけた。 「なあ、こいつらは未だに俺とお前が居候とかそういったのよりももっと濃い関係にあると誤解しているやつもいるみたいだからさ、どうにかしてこの誤解を解いてくれよ」 「――頑張れ祐介君。あたしは心の底から応援してるぜっ」  …………仕方ない。奥の手を使うか。 「後でケーキ奢るからさ」 「あの、皆さんに言いたいことがあるんですが。あたしは祐介君の家に下宿していますが、ただそれだけです。皆さんの中には変に誤解している人がいるみたいで……。そこをわかってもらえると嬉しいのですが」  ちょっと言い方が酷いような気もするが、まあいい、これで誤解が解けるのならば少しくらいのことは我慢しようじゃないか。  教室内は数秒の沈黙に包まれ、その後、俺の方に寄ってくるやつらがいた。 「祐介、俺の誤解だった。謝ろう。やっぱりお前は親友だ」  ……バカだこいつ。  うあ、後でミルにケーキを奢らなきゃいけないのか……。こいつのことだから遠慮もなしにどんどん食べそうだし……。俺の財布の危機だ。どうにかして安く済ませる方法はないものか。ああそうだ、そういえば隣町にケーキバイキングの店があったような……。  とりあえず言えるのは、こいつが来てから俺の運が悪くなったということだ。
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