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絶対に、と言った長月さんの言葉に妙な自信があるように思えたけど、それはどこから来ているんだ? ……って、落ち着いて考えてみると長月さんと会ってまだ十分と経ってないのにどうしてこんなにフレンドリーな会話を交わしているんだ俺は。俺は軽くため息をつくと、目の前にいる長月さんの姿を見つめた。
確かに楽しい生活になるかもしれない。ただ、なんとなくだが、物凄く気疲れする日々になりそうだ。
ふと気付けば、俺が長月と話し始めてから大分時間が経っていた。ふと窓の外を見れば、太陽が赤みを帯びてきていた。
長月は立ち上がるとゆっくりと伸びをした。
「もうこんな時間なんですねー。では、そろそろ部屋の整理もしなきゃいけないので、また夕飯の時に会いましょう」
ペコリと頭を下げ部屋から立ち去った長月の後ろ姿を見送ると、ベッドに倒れこんだ。黙って天井を見つめていると、長月の姿が浮かんだ。
何だろう、この気分は。この、自分の体がとろけそうで、それでいて体の内側から弾けそうな気分は。もしかしたら……これが恋っていうやつなのかもしれない。ふと思い返せば、俺はこれまで恋というものをしたことがなかった、と思う。俺は天井をずっと見上げていた。
気づいたら三十分ほど経っていた。これ以上じっとしても何かが変わるわけでもなく、ただの時間の無駄だと思ったので俺はゆっくりとベッドから起き上がった。
それにしても、だ。俺はこんなにも長月のことを気になっていたのだということに改めて気付き、なんとなく気恥ずかしくなったので椅子に座ると腕枕をして顔を隠すように突っ伏した。
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