9200人が本棚に入れています
本棚に追加
「速っ……!」
女子生徒がラクトのスピードに目を丸くしている内に、ユーリが女子生徒の延髄に手刀を入れて気絶させる。
ラクトは黒剣を肩掛けの剣帯に差し、近くにいた二年生の槍術科の男子背中の懐に飛び込む。
槍は中距離武器のため、懐に飛び込まれると対応が困難になる。
ラクトはそこを突いたのだろう。
しかし、鳩尾に拳を叩き込もうと腕を引いた瞬間、視界の端に動く影を捉える。
「チッ……」
小さく舌打ちすると、ラクトは身を屈めて頭上を通りすぎる拳を睨み付ける。
しかし、追撃とばかりに膝蹴りがラクトの顔面目掛けて迫る。
ラクトは勢いが乗る前に膝を手のひらで止め、その場から飛び退く。
「ふぅん、良い反応ね」
三年生の格闘科の女子生徒はそう言って拳を構える。
ラクトはその女子生徒を視界に留めながらも、周囲を見回す。
「ふっ!」
流石と言うべきか、剣術科総合二位のユーリは未だ剣を抜いておらず、体術でもう一人の一年生を気絶させていた。
最初のコメントを投稿しよう!