9200人が本棚に入れています
本棚に追加
あの後、入学式場に滑り込んだラクトは教師陣にこってりと絞られたため、記念すべき入学式にほとんど参加していない状態で入学式を終えた。
「はぁ、初日から鬱だ……」
ため息をつき、教室の窓から外の景色を眺める。
フェリエル魔法学園は三年制であり、一学年400人である。
教室は10クラスで、入学試験での順位を元に均等になるように振り分けられている。
ラクトは筆記は苦手なため、おそらく下位の者としてこのAクラスにいるだろう。
「やぁ、初日から散々だね」
ぼーっと窓の外を眺めていると、人懐っこい笑みを浮かべた少年がラクトに話しかける。
少年は茶色い短髪で、瞳も明るい茶色をしている。
ラクトは少年の言葉に反応し、少年を恨めしそうに睨み付ける。
「そう睨まないでよ。
まず自己紹介だね、僕の名前はウィルス=エリクソンだよ。君は?」
「エリクソンっつったら……上流貴族のだよな?」
「そうだよ。
僕の先祖が英雄の友ってのが自慢だね」
ウィルスはまるで自分の事のように話をする。
最初のコメントを投稿しよう!