出会い

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少女はこちらをさっきからずっと見ていたようだ。こちらが気付いたと見ると、にっこりとほほえみ、近づいてくる。しかしその表情とは対照的に、その歩みは緊張をたたえ、ややぎこちない。 「目が覚めましたか?先生…」 人の言葉を聞き、未だ霞がかかったような意識がはっきりとしてくる。優しく透き通った、りんとした声に思わずハイと答えそうになる。 しかし…答えられない。いや声が出ない。そもそも口が動かせない、と言うか口に何かが…。 「ああ、先生、騒がれますと困りますので、ちょっと「それ」をつけさせて頂いてます」 果たして私の口には、いや全身に拘束具が取り付けられ、身動き一つできない事、私はようやく気付きつつあった。
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