目覚め

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少女の名前は小西かすみ。彼女は警察庁で働く父と看護師の母との間に生まれたごく普通の少女だった。…あの日までは。  あの日というのはかすみが9歳になったばかりの夏のことであった。小学校は夏休みに入り、周りの友達はみんな毎日外で遊んでいるというのに、かすみだけはほとんど家から出なかった。1年前まではかすみも友達とよく遊びに行ったものなのだが、今年はずっと部屋に引きこもっていた。その原因は3年生に進級する際に両親にねだって買ってもらったパソコンだった。  かすみは小学校入学後のパソコンを使った授業で、パソコンに興味をもった。お絵かきソフトを使ったお絵描きが大好きだったのだ。その後、かすみの興味はお絵描きにとどまらず、パソコン全般に及んだ。しかし学校の授業で使えるパソコンの機能なんてたかが知れている。もっと自由にパソコンを使いたいと思ったかすみは、進級をネタに両親にパソコンをおねだりしたのだ。
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