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造超を1人殺した恭子は、今ゆっくりと歩き回っていた。 その間、手で髪型を整えているが血も付着しているため、グルグルと巻くだけであった。 やはりそこまで気になってはいないようだが、これも癖なのだ。 そんな恭子の頭の中にはある人物が浮かんでいた。 「裕也…」 その人物の名は、佐竹裕也。 恭子と紗耶香と同じく“あれ”では最初から一緒だった中学の同級生である。 超光線人間の裕也は、男気があって何に対しても臆さない。女王様の恭子にも普通に接し、唯一邪険に扱う王様のような人物だ。 そんな裕也に、恭子はずっと思いを寄せていたのだが、彼はもういない…… 「何でおかしくなっちゃうのよ」 恭子はそう呟いたが、悲しみはないようだ。 「死んだら超人として意味ないじゃない」 逆にその言葉には怒りさえ込められていた。 「今度会ったら文句言ってやる」 そんな事を言っても無駄である。何しろ、死んでしまった者に会うことなど出来ないのだから。 恭子にだってわかっているだろうが、何故か目は生き生きしていた。
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