新参者

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閑静な住宅街にあるアパートの一室の前で、二人はインターホンを押した。 インターホンの音が部屋の中から聞こえると「開いてるで~」と応えが返って来たので、二人は部屋へと入って行く。 「おっす、遥平! 悪いないきなり」 「おっ邪魔しま~す」 この部屋の主は”春日 遥平”(カスガヨウヘイ)……派手目のTシャツに一見ボロボロのジーンズ、長い金髪は頭の上でチョンマゲ風に縛られ、細い目が特徴的な生粋の関西人だ。 「ええで。 ついに由亜ちゃんもフロンティアデビューするみたいやな」 畳みの上で立て膝のまま手を挙げる遥平の部屋は『和』の一言。 畳にちゃぶ台、座布団に障子と誰がみても和室と答えるだろう。 大阪から大学に通うためここで一人暮らしをしている遥平は、大学からの共通の友人だ。 「言っとくけど、勉強のためだから! 役に立たなかったら即止めてやるんだからねっ」 下唇を吊り上げ、ふんっと首を捻る態度をとる由亜に男二人は…… (絶っ対わざとだっ!) (か、かわえ~) と、見事に骨抜きにされてしまう。 ただでさえ可愛らしい外見に男心をくすぐるその仕草は、もはや凶器以外の何物でもなかった。 「わ~かってるって! 遥平、早速で悪いけど由亜にフロンティア貸してやってくれ」 「お~」 押し入れの襖を開けて中からフロンティアを取り出すと、遥平は由亜に渡した。 「それを頭に被って、後はスイッチを入れればOKだ」 「ん~何か緊張するわね……変な事起きない?」 初めての事に戸惑う由亜に克也がまくし立てる。 「何だ、怖いのか? じゃあしょうがない……止めとこうっ!」 「な……怖くないわよっ! ば、バッカじゃないのっ!」 顔を赤く染めて怒る由亜に、克也と遥平がやられたのは言うまでもない。 「大丈夫やって! 楽な姿勢で始めや? 起きた時大変やから」 シシシっと笑う遥平に疑問の表情を浮かべるも、由亜は促された通りフロンティアを頭に装着した。 「おっと……由亜? 俺達が起動させてから一分後にスタートさせるんだぞ? OK?」 「わ、解ったわ」 由亜の確認を取ると二人はフロンティアを起動させた。
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