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何が起こったかまるで理解してない由亜に、克也が説明を始める。
「ここが世間を賑わせてるもう一つの世界……フロンティアなんだ。
仮想現実ってやつかな?」
「仮想現実……」
「そう、仮想現実!
映画とか漫画で見たこと無いか?
肉体と意識が別々の場所にある感じのやつ」
由亜は克也の説明に必死についていこうとするが、まだ理解するには至らない。
「う~ん……そうだっ!」
何かを思いついたそぶりを見せた克也は、いきなり由亜の頬をおもいっきり抓った。
「ちょっ!なっ!痛い痛い痛……い?
あれ?痛くない……」
突然の事に驚いた由亜は、反射的に痛がるそぶりをするが、全く痛みがないことに気付く。
「これで解ったろ?
体はあっち、心はこっち!」
克也はへへっと笑いながら両手でどこか指差し、次は下に向かって指を差した。
「ホントにゲームの中なのね……」
ゲームの中だと理解するやいなや、由亜はいろいろな物に興味を持ち、まるで初めて遊園地に連れてきてもらった子供の様にはしゃぎだした。
その姿に心を奪われかけた時、克也の後ろから声がした。
「顔がおもろいことになってるで?」
ニヤ~っとした表情で克也の顔の横から遥平が顔をだした。
「あ、いや、あっははははは……。
お、遅かったな?」
「すまんすまん!
由亜ちゃんにプレゼント買うたろう思て、えらい悩んでしもたわ!
そういうお前のソレも……やろ?」
二人共何やら荷物を抱えて、お互いにニヤニヤしていた。
「ちょっと、男同士で見つめ合って……や、止めてよね!」
少し頬を赤く染めて、恥ずかしそうに振る舞う由亜は二人に注意を促す。
「誤解だぞ!
まぁ、それよりこれはフロンティアデビュー記念のプレゼントだ!」
誤解を解きつつ、由亜に先程の見慣れない物を渡した。
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