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「プレゼント?克也が?
あ、ありがと……でも何これ?」
克也が由亜に渡したのは、エメラルドグリーンの長い布の様な物だった。
「それは多機能型マフラーバックだ!
裏地にポケットがいっぱいついてるだろ?
そこに物を入れると、重さも感じないで、しかもポケットの大きさ以上のもんが入れられるんだぜ!」
意気揚々と鼻高々に説明する克也に由亜は困惑したが、試しに入れてみろと由亜が持ってきていたピンクのトートを、一つのポケットに押し込め始めた。
「ちょっと!?
入る訳無いでしょ!」
と、克也を止めるが、信じられない光景が由亜の目に飛び込んできた。
押し込まれていたトートは吸い込まれる様に一つのポケットに収まり、まるで何も入っていないかの様な感覚……重さも膨らみも感じられなかった。
「は、入っちゃった……」
由亜は目をぱちくりさせながら、その一部始終をじっと見つめる。
「出したい時はポケットに手を入れれば……」
おもむろに手を入れると、今度は吐き出す様にポケットからトートが出て来た。
「ちなみにこいつは限定品だぞ!
さっき列んでまで手に入れたんだからな」
鼻を高くして自慢げなポーズを取る克也の横から、今度は遥平が出て来た。
「あかんあかん!
克也はわかってへんなぁ?
女の子のプレゼント言うたら普通こうゆうもんやんけ」
そういうと遥平はポケットからタバコサイズのケースを取り出した。
「えっ、遥平もっ!?」
遥平が由亜に渡したのは、銀色に輝く蝶をモチーフにしたブレスレットだった。
「こいつは克也のんとは格がちゃうで!
何ちゅうても世界に一つの一品物やからな。
有名なクリエイターの作品なんやで!」
蝶が幾重にも連なり、所々にダイヤの様な宝石をあしらった見事な逸品だった。
「ちょっと……これ高いんじゃないの?」
「ええて!ええて!
ささやかなプレゼントやんけ。
こっちの世界でしか使えへんけど、それは注目されるでぇ?」
遥平は両手を頭の後ろに組んで、ヘラヘラと笑いながらおどけてみせた。
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